シゲ&水野幼馴染パラレル 7
「寒いーー」
二人の間を吹きぬけた風に、隣でシゲが盛大に肩をすくめて悲鳴を上げる。
その様子を半眼で見やり、竜也は深く嘆息した。
「お前、言動と行動があってねぇよ」
登校途中で会う事は滅多に無いが、会えば会ったで無視する理由も無いので教室まで同行する。
「寒いならコート着てくればいいだろ?」
ブレザーの下にセーターを着るという防寒対策しか取っていないシゲに対して、竜也はしっかりコート着用だ。
「えー、せやったらたつぼんがあっためてーな」
ブレザーの袖から覗くセーターの袖に指先を丸め込んですり合わせるシゲに、馬鹿じゃねぇのと竜也はすげなく返す。
「そういう台詞は女に言えば」
俺に言われても余計こっちが寒いと付け足し、短く重なる二人の通学路はあっけなく終わりを告げる。
下駄箱でノロノロと冷えた上靴に履き替えながら、シゲはさっさと廊下へ向かう竜也の背中を目で追う。
(そら、前はそうやったけど)
戯れか本気かを相手の判断に任せて、暖めてくれなんて台詞は散々吐いてきた。けれど、今はもう他の女に言おうとは思わない。
(本気やのになぁ)
竜也に暖めてもらいたい。下心込みでも抜きでも。大分前からそう思って様々にアプローチを重ねているつもりなのに、竜也にはどうも伝わりきっていないようだ。
(なあ、早く気付いて)
本気だと。
人肌が恋しくなる季節を目前に、シゲは大きく溜息を吐いた。
幼馴染シゲ水シゲ(!?)冬の走りバージョン。
本編(?)開始は初夏の予定なのですが、ここまできても出来てないのかこの二人!!(笑。
11月19日