シゲ&水野幼馴染パラレル タツシゲの日特別バージョン


次の科学の実験の準備を頼まれた竜也が、がちゃがちゃとビーカーやフラスコの入った籠を運んで渡り廊下に差し掛かった時、ガラスの群れから目線を上げてふと視線を巡らせると、中庭のベンチで女子に囲まれて大口を開けて笑っているシゲが目に入った。
自分はこんなに重たい思いをしているというのに。
ほぼ八つ当たりに近い思いが胸に沸いて来て、竜也は上靴のまま渡り廊下から降りる。
「シゲ」
ガチャガチャと鳴る実験道具を抱えたままベンチに近付くと、シゲにまとわり付いてキャアキャア言っていた女子達が驚いたように眼を見張った。
それもそうだろう、相変わらず学校でシゲと竜也が親しく会話することは少ない。
「何?」
シゲは校内で竜也に声を掛けられたことが嬉しいのか、それとも女子に囲まれているからか、いやに上機嫌で返事をする。
竜也は籠を抱えたままシゲの真正面に立ち、口角を上げてにっこりと笑う。
「口開けろ」
「はあ?」
困惑した声を上げたのはシゲの周りの女子だった。
「水野、何言ってんの?」
声を上げる女子を無視して、竜也はシゲに再度同じ事を繰り返す。
するとシゲはにっこり笑って大人しく餌を求める雛の様にぱか、と口を開けた。
「あー」
竜也が何を企んでるのかを楽しそうに待つシゲのその口に、竜也は腰を曲げて自分のそれを重ねた。
「!!!???」
持っていた実験道具がガシャンと危険な音を立て、周囲から驚愕の悲鳴が上がり、さすがのシゲも目を丸く見開くが、竜也は構わずシゲの口内にまで忍び入ってその舌を吸い上げた。
「んーー・・っう!」
シゲの口内を一通り嘗め回すと、竜也はキスを止めてシゲの耳元に唇を寄せた。
「続きが欲しけりゃ、今日ウチ寄りな、色男」
そして目元を紅く染めて珍しく絶句するシゲに、満足げににやりと笑い竜也は渡り廊下の方へ戻って行った。
「し、信じられへん・・・」
背後に女生徒達の悲鳴の様な声が響き、どういうことだとつめよられて困惑するシゲの声も漏れ聞こえ、竜也は酷く満足して足取りも軽く実験室へと向かった。


タツシゲの日!てことで。


10月11日