準利でオペラ座の怪人ダイジェスト 6 裏切り者。オレはお前に歌を与え、お前の望む限り側にあって、お前を慰めてやったというのに、その返礼がこの裏切りか!そんなにあの兄貴と共にいたいか!あの時どうしてもと懇願するから帰してやったが、まさかこんな形で手を噛まれるとはな! 利央、お前はオレの物だ。あの日の契約を違えるな、忘れるな。 オレから、逃げられると思うな。 「仮面舞踏会、おめでとう!」 「あぁ、水谷か・・・お前は気楽で馬鹿でいいよなぁ・・」 「なっ、オーナー阿部!それはあんまりじゃない!?折角最近怪人が大人しくて、平和なのに!」 「その平和が怖いってぇの・・・」 「利央、どうしたこんな隅で?」 「兄ちゃん・・・・ううん、別に」 「怪人か?」 「うん・・あれから、いつもの所に行っても会えないんだ・・・」 「いいことじゃないか、これでお前は解放される。オレのお前を思う気持ちに、あいつも諦めてくれたんだろう」 「そう、かな・・・」 「お集まりの皆さん、ごきげんよう」 「怪人!!」 「どうした?ずっとオレを探していただろう?現れなければ平和だが、その仮初がいつまで続くかと、不安だったろう?喜べ、オレは戻って来た」 「準サン・・・」 「利央、止めろ!」 「今日はまだ挨拶だけだ、これを受け取れ」 「これは?」 「オレが心を込めて作った歌劇。これを上演してもらおう、勿論主役は、彼で」 「オレ・・・?」 「何を考えてる、怪人!オレの弟に妙な真似をするな!」 「黙れ、お前が居ない間そいつを守ってきたのは、オレだ。お前の代わりに、生涯側にいると誓ったのも、オレだ」 「何を・・」 「オーナー、この間の様に主役を挿げ替えるのは止めた方がいい。今度は客席でなく、舞台に潰れた蛙が現れることになる」 彼が恐ろしい者だと、オレは知っていた。けれど、それでも、仮面の下から覗く彼の瞳から、どうしても目が逸らせなかった。 準太VS呂佳? 1月12日 |