準利でオペラ座の怪人ダイジェスト




裏切り者。オレはお前に歌を与え、お前の望む限り側にあって、お前を慰めてやったというのに、その返礼がこの裏切りか!そんなにあの兄貴と共にいたいか!あの時どうしてもと懇願するから帰してやったが、まさかこんな形で手を噛まれるとはな!
利央、お前はオレの物だ。あの日の契約を違えるな、忘れるな。
オレから、逃げられると思うな。

「仮面舞踏会、おめでとう!」
「あぁ、水谷か・・・お前は気楽で馬鹿でいいよなぁ・・」
「なっ、オーナー阿部!それはあんまりじゃない!?折角最近怪人が大人しくて、平和なのに!」
「その平和が怖いってぇの・・・」

「利央、どうしたこんな隅で?」
「兄ちゃん・・・・ううん、別に」
「怪人か?」
「うん・・あれから、いつもの所に行っても会えないんだ・・・」
「いいことじゃないか、これでお前は解放される。オレのお前を思う気持ちに、あいつも諦めてくれたんだろう」
「そう、かな・・・」

「お集まりの皆さん、ごきげんよう」
「怪人!!」
「どうした?ずっとオレを探していただろう?現れなければ平和だが、その仮初がいつまで続くかと、不安だったろう?喜べ、オレは戻って来た」
「準サン・・・」
「利央、止めろ!」
「今日はまだ挨拶だけだ、これを受け取れ」
「これは?」
「オレが心を込めて作った歌劇。これを上演してもらおう、勿論主役は、彼で」
「オレ・・・?」
「何を考えてる、怪人!オレの弟に妙な真似をするな!」
「黙れ、お前が居ない間そいつを守ってきたのは、オレだ。お前の代わりに、生涯側にいると誓ったのも、オレだ」
「何を・・」
「オーナー、この間の様に主役を挿げ替えるのは止めた方がいい。今度は客席でなく、舞台に潰れた蛙が現れることになる」

彼が恐ろしい者だと、オレは知っていた。けれど、それでも、仮面の下から覗く彼の瞳から、どうしても目が逸らせなかった。


準太VS呂佳?


1月12日