準利でオペラ座の怪人ダイジェスト




もう、引き返すことはできない。
あの台本を読んだ時から、覚悟はできていた。

「いっそ、一思いにやってしまおう」
「どうやって?」
「奴は絶対、舞台に現れる。そう思わないか」
「思う、今度こそ利央を攫っていくつもりだろう」
「だから、逆にそこを狙ってやればいい」
「・・・やるか」
「あぁ、オレもこれ以上三橋を危険に晒す可能性があるのは、嫌だからな」

もう引き返すことはできない。
これが最後の一線。もう橋は渡ってしまった、後はこの橋が燃え落ちるのを見ていよう。
自分たちはもう、引き返すことはきでない。

「あの日、落ちたお前の涙を拾ってやったのはオレだったね。憶えているだろう?初めて会った、あの日のこと。あの時お前は誓った筈だ。オレのものでいると、オレの物になると。忘れてしまってはいないだろう?」
「忘れるものか、あなたに初めて会ったその日の事を。あなたの声が優しくオレを慰め、オレはあなたに囚われた。忘れるものか、あの日からずっと、この身はあなたのもの」

「今だ!」
パァ―――ン!!
「準サン!!!」
「この・・・やって、くれる・・・」
「準サン!」

「落ちたぞ、追え!」
「くそ、舞台下に地下にしかけを作ってるとはな!」
「疵を負ってる、仕留めろ!」
「兄ちゃん!止めて、止めて兄ちゃん!何で!!」
「大丈夫だ、利央。今度こそ確実に殺してやる。もうお前は、自由だ」
「兄ちゃん・・・!!!」


原作では、素直にクリスティーナは攫われますがね。


1月12日