準利でオペラ座の怪人ダイジェスト 7 もう、引き返すことはできない。 あの台本を読んだ時から、覚悟はできていた。 「いっそ、一思いにやってしまおう」 「どうやって?」 「奴は絶対、舞台に現れる。そう思わないか」 「思う、今度こそ利央を攫っていくつもりだろう」 「だから、逆にそこを狙ってやればいい」 「・・・やるか」 「あぁ、オレもこれ以上三橋を危険に晒す可能性があるのは、嫌だからな」 もう引き返すことはできない。 これが最後の一線。もう橋は渡ってしまった、後はこの橋が燃え落ちるのを見ていよう。 自分たちはもう、引き返すことはきでない。 「あの日、落ちたお前の涙を拾ってやったのはオレだったね。憶えているだろう?初めて会った、あの日のこと。あの時お前は誓った筈だ。オレのものでいると、オレの物になると。忘れてしまってはいないだろう?」 「忘れるものか、あなたに初めて会ったその日の事を。あなたの声が優しくオレを慰め、オレはあなたに囚われた。忘れるものか、あの日からずっと、この身はあなたのもの」 「今だ!」 パァ―――ン!! 「準サン!!!」 「この・・・やって、くれる・・・」 「準サン!」 「落ちたぞ、追え!」 「くそ、舞台下に地下にしかけを作ってるとはな!」 「疵を負ってる、仕留めろ!」 「兄ちゃん!止めて、止めて兄ちゃん!何で!!」 「大丈夫だ、利央。今度こそ確実に殺してやる。もうお前は、自由だ」 「兄ちゃん・・・!!!」 原作では、素直にクリスティーナは攫われますがね。 1月12日 |