準利でオペラ座の怪人ダイジェスト




「利央、いい加減食べないと身体を壊す」
「いらない、おなか空かないんだ」
「利央、もう大丈夫なんだよ。そりゃ結局奴を仕留めることはできなかったけど、あれだけの出血だ。もう生きてはいないさ。だからもう・・」
「違う!」
「利央?」
「違う、違う、違う!どうして皆オレが騙されたみたいに言うの!どうしてオレが被害者みたいに!違うのに!」
「何を・・」
「オレはあの人と行きたかった!オレは準サンと約束した!オレが準サンを愛してあげるって、約束したのに・・!!」
「利央、何を言ってるんだ!あいつは怪人だぞ!おぞましい、劇場に取付いた悪魔だ!」
「違う!オレが望んだんだ!最初に地下に行った時、本当はそのまま行ってしまっても良かった!そうしなかったのは、せめて兄ちゃんに別れをと思ったからなのに・・!!」

「利央、そろそろ舞台に戻らないか。ファンが、待ってる」
「オーナー阿部、オレはもう歌えません」
「何を言ってるんだ」
「オレは、あの人の為に歌ってたんだ。あの人に誉めてもらう為に」
「あの人?」
「怪人のことだ。あの日からずっと、まだあいつが忘れられないらしい」
「・・・さすが怪人か・・」
「止めてよ、そんな風に言うの」
「利央、あいつは死んだんだ。いい加減目を覚ませ。囚われるな」
「目なんてずっと覚めてる!どうして信じてくれないんだ、オレは、オレは、あの人といることが幸せだったのに!あの人の為にだけ、歌ったんだ!あの人の為にだけ!あの人がいないなら、俺はもう歌えない!いっそ、狂ったと言ってオレも殺してよ!」
「利央!!」
「なかなか、熱烈な告白だな」
「準、サン・・・?」
「な・・っ!!」
「ごきげんよう、オーナー阿部に、呂佳。それともただいま、の方がいいかな?」
「お前、何で・・」
「あの程度で、この怪人が滅ぶとでも?」
「準サン・・!!」
「利央、待たせたな。こちらにも準備があってな」
「準備・・?」
「あぁ。でもそれも整った。オレと行くか?」
「利央、止めろ!」
「オレと、永久に生きるか?」
「一緒に、行くよ。だって約束したじゃないか」
「そうだな、憶えてたか」
「憶えてるよ、あの日からオレには、あんただけだ」
「利央!!」
「ごめんね、兄ちゃん」


私は、怪人が幸せになってほしかった派ですよ、ラウルなんて単なるボンボンじゃない!(笑。


1月12日