準利でオペラ座の怪人ダイジェスト 8 「利央、いい加減食べないと身体を壊す」 「いらない、おなか空かないんだ」 「利央、もう大丈夫なんだよ。そりゃ結局奴を仕留めることはできなかったけど、あれだけの出血だ。もう生きてはいないさ。だからもう・・」 「違う!」 「利央?」 「違う、違う、違う!どうして皆オレが騙されたみたいに言うの!どうしてオレが被害者みたいに!違うのに!」 「何を・・」 「オレはあの人と行きたかった!オレは準サンと約束した!オレが準サンを愛してあげるって、約束したのに・・!!」 「利央、何を言ってるんだ!あいつは怪人だぞ!おぞましい、劇場に取付いた悪魔だ!」 「違う!オレが望んだんだ!最初に地下に行った時、本当はそのまま行ってしまっても良かった!そうしなかったのは、せめて兄ちゃんに別れをと思ったからなのに・・!!」 「利央、そろそろ舞台に戻らないか。ファンが、待ってる」 「オーナー阿部、オレはもう歌えません」 「何を言ってるんだ」 「オレは、あの人の為に歌ってたんだ。あの人に誉めてもらう為に」 「あの人?」 「怪人のことだ。あの日からずっと、まだあいつが忘れられないらしい」 「・・・さすが怪人か・・」 「止めてよ、そんな風に言うの」 「利央、あいつは死んだんだ。いい加減目を覚ませ。囚われるな」 「目なんてずっと覚めてる!どうして信じてくれないんだ、オレは、オレは、あの人といることが幸せだったのに!あの人の為にだけ、歌ったんだ!あの人の為にだけ!あの人がいないなら、俺はもう歌えない!いっそ、狂ったと言ってオレも殺してよ!」 「利央!!」 「なかなか、熱烈な告白だな」 「準、サン・・・?」 「な・・っ!!」 「ごきげんよう、オーナー阿部に、呂佳。それともただいま、の方がいいかな?」 「お前、何で・・」 「あの程度で、この怪人が滅ぶとでも?」 「準サン・・!!」 「利央、待たせたな。こちらにも準備があってな」 「準備・・?」 「あぁ。でもそれも整った。オレと行くか?」 「利央、止めろ!」 「オレと、永久に生きるか?」 「一緒に、行くよ。だって約束したじゃないか」 「そうだな、憶えてたか」 「憶えてるよ、あの日からオレには、あんただけだ」 「利央!!」 「ごめんね、兄ちゃん」 私は、怪人が幸せになってほしかった派ですよ、ラウルなんて単なるボンボンじゃない!(笑。 1月12日 |