(ヒ)魔王銀時と、流され勇者新八「10」


『銀時、コレはお前を選んでしまった。ここにコレを据えて置く限り、この世界は安全だけれど、お前はココから動けない』
『そんなご大層な理由なんざいらねぇよ、何もしねぇで生き放題ってんだろ?上等じゃねぇか』
『銀時、すまない・・・』
『んなツラすんなよ、センセイ。アンタの方が、過酷だろうよ』
『願うことが許されるなら、お前の孤独を和らげてくれる存在を願うよ』
『いらねぇーって、こんな上等の人生、勿体無くて他の奴になんかくれてやれるか』
『銀時・・・』

「あー・・・・寝てた・・・また寝てた・・・どんくらいだァ?」
「四日アル。よくそんなに寝れるアルな、目の玉溶けるアルよ」
「溶けるか、馬鹿。四日ねぇー・・・段々延びてねぇか?俺」
「延びてるアル、その内眠り親父になるネ。こんなむさい野郎、誰も起こしになんて来てくれないネ」
「親父言うな、俺はまだまだ若い」
「若い若い主張する人ほど、自分の年を認めたくない人なんですよ」
「んだとお、てめぇ、自分がまだまだヒヨッ子だからって嫉妬かこらぁ・・・・て、何でお前ここにいるの?」
「えーと・・・・そのー・・」
「しかも、ここ出てった時無傷だったよね?何で包帯してんの?」
「こいつの姉上、魔王より怖いアル」
「え、姉上?それ実の姉がやったの?」
「えー・・・あれから家に戻ったらですね、天候を操る鏡もアンタの御首も持ち帰らなかったおかげでボコボコにされまして。私がこの世の覇権を握った暁に、父上の田畑を取り戻せる準備を整えるまで帰ってくるなと言われまして」
「いや、別に覇権握らなくても田畑位取り戻せんじゃん」
「僕が未練タラタラの顔、してたんだと思います。仮にも一度勇者と名乗った男が、腑抜けた面してるなとも言われました。別に僕、名乗ってないですけどね。ついでに盆と暮れには敷居跨がせてやるって、言われました。だから銀さん、盆と暮れ以外は怠惰な生活諦めて下さいね」
「・・・・・・・・・・こえぇ姉ちゃんね」
「えぇ、自慢の姉です」
「でもよおお前、こんなとこ良い場所じゃねぇぞー?俺はココから動く気はネェからな、その理由は・・」
「いいです、言わなくて」
「お?」
「まだ、言ってもらえる段階じゃないと思うんで。とりあえず、沖田さんが下界とのバイパスになってくれれば問題ないですし、大丈夫。神楽ちゃんのご飯、僕が面倒見ますから」
「あー・・・・そう?じゃあ、まあ、好きにすればぁー・・・?」
「ハイ、とりあえず熱も無いのに四日も寝倒すなんて暴挙、二度とできると思うなよコノヤロー」
「あ、目が溶けてきたみたい・・・」
「溶けるかこのドアホオオォオオオ!!」
「結果オーライ、アル」
「オーライかァ?旦那ボコボコだぜぃ?」
「銀ちゃん、Sに見せかけてMの要素も持ってるアル」
「そりゃぁ、今の状況は幸せだねィ・・・」


・・・・・終幕!
えーと、書いてるうちに色々設定が出てきちゃって(いっつもだ)、拍手じゃ収まらなくなりそうだったので無理矢理終幕、みたいな・・。銀新じゃなくてすいません、寧ろ前半の姉弟シーンが楽しくて仕方なかったです。
(ヒ)魔王の「ヒ」は「非」魔王の「ヒ」。「暇王」じゃないんだぜ(どうでもいい)
神楽の出生とか銀さんの正体とか、天候鏡の本当の役割とかは、めっさ分かりやすい伏線しか出てないので妄想しまくってください。
ここまで押してくださって、ありがとうございました。




end