柾輝+直樹(マサツバ) 「何でやねん」 今時そうそう聞けない様なベタな台詞を言って、直樹は目の前でコンビニの袋を机に置いた柾輝を床から見上げる。 「何が?翼は?」 「便所。それよりお前、何でやねん」 ガザガザと袋から飲み物だの菓子だのを取り出しながら、柾輝は何が?ともう一度聞き返した。 直樹は取り出されたペットボトルの中から、リクエストしたものを取ってキャップを捻る。 「ここお前ん家やろーが。何でお前が買い物行ってんねん」 飲み物のリクエストまでしておいて言えた台詞ではないのかもしれないが、柾輝に買い物に行くように言い出したのは直樹ではない。只今席を外し中の翼である。 「何で、て。お前は翼に逆らえるのかよ?背負い投げされるぞ」 柾輝も自分用に買ってきたペットボトルのキャップを開けながら、ビニール袋を適当にゴミ箱に突っ込む。 「そらそーやけど。せやけどお前、ほんまに気に入らんかったら従わへんやろ。それがまー、借りてきた猫みたいに大人しゅう言うこと聞いて・・・」 翼が転校してくるより早くからつるんできた直樹は、柾輝が気に入らなければそれがたとえ立場的に上のものからの命令でもそう簡単に従う奴ではないと知っていた。 それなのに、翼のいうことには大概、九割以上の確率で即座に応じるのだ。 常々その態度を疑問に思ってきた直樹は、今日こそチャンスと思ってそれを尋ねてみたのだ。 真剣な顔をして何故だと詰め寄ってくる直樹を一瞥し、柾輝は天井を見上げる。 そして、廊下に響く軽い足音を聞いて、にやっと直樹に笑い返した。 「気に入ってるからだろ?」 その返答にぽかんと口を開けた直樹に肩を揺らして笑い、柾輝は無遠慮にドアを開けた翼に恭しくリクエストどおりの物を差し出した。 何故か突然直樹出演。 彼は飛葉サイドでは柾輝と翼を見守らされてる(半強制)立場だと嬉しいです(笑。 (初出2004,8,27/再録2004,9,28) |