それはいつもの朝、新八が朝食を済ませて出勤し、何故だか自分は食べないのに銀時と神楽の朝食を用意する羽目になり、二人を叩き起こして食事をさせて後片付けをしていた最中。 「新八ーー!」 突然、厠の扉が乱暴に開かれて神楽が飛び出してきて、洗い物をしていた新八の背中に突撃してきた。 「うっわあ!」 背骨にひびが入るのではないかという勢いで飛びつかれ、新八は持っていた椀を取り落とす。激しく泡を撒き散らせて落ちる椀に悲鳴をあげつつも、銀さんのだからまぁいいやと諦めつつ、新八は首だけで振り返る。 「神楽ちゃん?どうしたの!」 「どうしよう、新八。私病気アル」 「えっ!」 普段から子供同士とは思えない激しい遊びで擦り傷の絶えない神楽だが、そこはやはり戦闘民族ゆえの丈夫さなのか、病気とは無縁である。その彼女が新八の背中に顔を埋め、涙声で訴えてきたので新八は心底狼狽した。 「ど、どうしたの、何が病気?気持ち悪い?もしかして今、トイレで吐いちゃった?」 嘔吐した割には元気すぎるし、何より神楽が開けっ放しで飛び出してきた厠からは吐瀉物独特の酸っぱい臭いもしない。 「違うヨ、吐いたなんて可愛いもんじゃないアル。出血アル」 「ええ!?ちょ、何が!どこが出血してるの!?壁から釘でも出てた!?」 かぶき町の中では良心的な家賃を誇るこの職場は、その分建物の傷みもそこそこだ。しかし家主のお登勢に言わせれば、建物が傷むのは宇宙船に突っ込まれたり玄関を何度も破壊されたりする生活を送る店子にも充分責任があるという事になる。 「神楽ちゃん?どうしたの、どこ怪我したの?」 それはともかく、今は半べそをかいてしまっている神楽を落ち着かせる事が先決と、新八は神楽の身体をあちこち見てみる。が、そこには何ら外傷は見当たらない。 「怪我じゃないって言ってんだろコルァ、病気だヨ、しかもコレ絶対重い病気ネ、私お空の星になってしまうアル。新八、晴れた夜空に一等輝く星を探してくれヨ、あたいはそこからお前をいつまでも見守っているヨ」 「また妙なテレビ見て!結構余裕あんじゃないのか、お前!」 全く状況が把握できない新八が眉尻を吊り上げると、神楽は口をへの字に曲げてくしゃりと表情を歪めた。 「おしっこしたら、血が出たアル・・・・」 「えぇ!?」 それって血尿?血尿って何の病気だっけ、糖尿とは違うんだよね、それだったら銀さんに聞けば症状も分かるんだろうけど、いやでも、さすがに銀さんも血尿は無いよね、糖尿に血尿だったら何かもう救いようが無い感じだよね。 そんな事が一瞬で頭を駆け巡り、新八は軽くパニックに陥る。とっさの対処が思い浮かばず固まった新八に、神楽はべそべそと鼻を啜りながら続けた。 「何かお腹も痛いし、腰も痛いアル。何かだるいし頭ボーッとするし、どうしよう、新八、私死んじゃうアルか?」 「お腹痛いの?神楽ちゃん、どの辺?」 神楽が並べ立てた症状に、ふと思い当たる事があった新八は我に返る。 「下っ腹アル、でも前に蟹に当たった時とは違う傷みネ。大を出したい感じじゃ無くて、寧ろ何か腹の中で剥がれ落ちてる感じアル。どうしよう、もしかして内臓的なものが出てきちゃうアルか?」 「・・・神楽ちゃん、それってまさか・・・・」 神楽の訴える症状一つ一つに、新八の中では未知の病に対する恐怖は消えていた。代わりに、別の衝撃が沸き起こる。 「そういえば銀ちゃん、前に内臓的なもの出しかけてたヨ。治す方法しってるかも知れないネ、ぎーんちゃー・・」 「かーぐらちゃあぁぁあん!ちょっと待って、ちょっと待ってぇ!それ多分内臓関係ない、いや関係あるっちゃあるけど銀さんではどうにもなんないよ、ていうか僕ら男じゃ役に立たないから!今姉上に電話するから、ちょっと待ってェェェエエ!」 外にまで響き渡りそうな声を張り上げようとする神楽を慌てて制した新八に、神楽はきょとんと首を傾げる。 「・・・姉御?」 「あんだぁ?おめーらさっきから何ぎゃーぎゃー騒いでんだぁ?」 夜の仕事をしている姉をこんな時間に起したら怒られるかと思いつつも、よやく騒ぎに腰を上げて顔を覗かせた銀時のしまりの無い顔を見て、絶対この人じゃ役に立たないなと確信した新八は、とりあえず神楽を落ち着かせ状況をつかめていない銀時を放って、万事屋の電話を取った。 新八からの連絡を受けたお妙は、最初こそ寝入りばなを起されて不機嫌だったものの、事情を聞くと快く今の神楽の必要だと思われる物を揃えてから万事屋にやってきてくれた。そして神楽に紙袋の中身を説明してから、所在無く今のソファに腰掛けていた新八と銀時に、その事を告げた。 「え、マジで?」 銀時の第一声はそれで、新八は自分の予想が外れていなかった事への安堵なのか今後への不安なのか溜め息を一つ零した。 「神楽ちゃんだって、そんな年ですものね。寧ろ今までまだ来てなかったことも不思議な位よね。やっぱりむさくるしいオッサンと暮らしてるから女性ホルモンが足りないのかしら・・・」 「ぅおーい、まてまて、オッサンて誰の事?銀さんまだ若いから、まだ枕からお父さんの臭いはしねぇから。つーかあいつに女性ホルモンが足りてねぇのは、明らかにあいつ自身の問題だよ、ていうかマジで?マジで、あー、なんだ、ソレが始まったってのか?」 「いい年をして、月のモノ一つ口にするのを恥かしがるのは止めてくださいね、銀さん。言い淀むと却っていやらしいですよ」 妙にそう一刀両断されて、銀時はぐっと口を噤む。 そうなのだ、神楽はこの日、めでたく一人前の女になった証である月のモノが始まったのだった。 「とりあえず必要な物は一通り買ってきましたけど、神楽ちゃん大分ショックみたいだから、今日はお仕事させないで下さいね」 当の本人は、いまだ厠から出てこない。コトリとも音を立てず、まるで立てこもるかの様に厠に入ったきりだ。 己の身体の中から痛みも無く血が流れ落ちていくというのは、どんな感覚なのか新八にも勿論銀時にも分からないので今の神楽の気持ちは想像もつかないが、身体の中から何かが剥がれている気がすると言った彼女の言葉どおりをを考えると背筋が薄ら寒くなる。 妙はチラリと厠のある方を心配そうに見やってから、途方に暮れた表情をする男二人に静かに告げた。 「デリケートな問題だから、何かあったらすぐに連絡ちょうだいね。もしこれが原因で神楽ちゃんがここで生活しにくいのなら、うちに来て貰っても構わないんだし」 「え、そこまでしなくても・・・」 「新ちゃん、女の子が恋人でもない男の人の家で、月のモノを迎えるっていうのは理屈でなくて生理的に複雑なものなのよ。銀さんも、これから神楽ちゃんは『女の子』から『女』になっていくんですからね、よく考えてくださいね」 言われて銀時は眉を顰めたが、何も言わずただ生返事をしただけだった。 「じゃあ、余り大人数でうろうろしてても落ち着かないでしょうから、私はこれで一度帰るわね」 「あ、はい。姉上、ありがとうございました」 妙は最後にいいのよ、と笑って万事屋を出て行った。後に残された新八と銀時は、暫く気まずそうに視線を彷徨わせていたが、新八は意を決してとにかく神楽を厠から出さなければと足を向ける。 「えー、と、僕、神楽ちゃんの様子、見てきます、ね」 口の中でもごもごと言ってから、扉の前に立って軽くノックをしてみるが、答えは無い。 「神楽ちゃん?出ておいで、そんなとこにいつまでもいたら身体冷えるよ。具合悪いなら寝ても良いから、ね?」 それ以上はなんと言ったら良いのか分らず、新八は立ちすくむ。新八とて姉を持つ身だ、月のモノの最中である妙が理不尽に不機嫌だったりだるそうだったりしている様子は見てきている。しかし、それがあの神楽にも訪れたとなると、話は別だ。 何か、気恥ずかしいような気まずいような。 一人でうろうろと視線を彷徨わせているうちに、厠の扉が静かに開かれた。 「だるいアル」 そう一言呟いた神楽は、顔色も通常で見た目は何も変わらない。しかしその表情は不機嫌そうに唇が尖っていて、伏目がちだ。 「うん、今日はゆっくりしてなね」 できるだけ柔らかく言った新八の言葉に、神楽はこくりと頷き居間へ向かった。 今では銀時がいつもの様にソファに寝転がり、ジャンプを読んでいる。神楽はその向かいに腰掛け、そのまま背もたれに顔を向けてコロンと横になった。 いつもならば食後はすぐに飛び出して行く神楽のその様子を心配したのか、定春がその傍らにぺたんと腹這いになる。 そんないつになく静かな万事屋で、新八はできるだけ普段どおりに過ごそうと、まずは洗濯にとりかかった。 「神楽ちゃん、お昼だからそこちょっと空けて」 寝ているのか起きているのか分らない神楽に声をかけて、新八は昼食をテーブルに並べようとする。午前中一杯をかけてジャンプ一冊を隅々まで読んだ銀時が起き上がり、おい神楽、と声をかける。 「神楽ちゃん?お腹痛い?お昼食べられる?」 何よりも食事の時間が大好きな神楽が、昼食と聞いても起き上がってこない様子に新八は心配げな声を上げる。しかし神楽は何の返事も寄越さず、まるで不貞腐れてる様に身動きしない。 「神楽、てめぇ食わねぇなら食わねぇで、とりあえず避けろ。邪魔だろーが」 「うるさいアル」 「あぁ?」 ボソリと吐き出された神楽の言葉に、銀時の額に青筋が浮かぶ。 「ちょっと銀さん、神楽ちゃん調子悪いんだから」 いきなりけんか腰にならないで下さいよと宥める新八を無視して、銀時は大股でテーブルを回り神楽の傍らに立つ。定春が不機嫌そうに唸ったがお構い無しに、銀時は神楽の肩を揺すった。 「お前ね、熱だってねぇし病気ってわけじゃねぇだろうが。何ぐうたらしてんだ、おい。ちゃっちゃと起きろっつーの」 「うるっさいアル!」 パンッと神楽が銀時の手を勢い良く払い、その場の空気が凍った。 まずい、と新八が思ったときには遅く、神楽は感情的に喚きだした。 「銀ちゃんも新八も、こんなもの無いんだから私の今の気分が分かるわけないネ!うるさいアル!ご飯もいらない、何もしたくない、放っとくアル!」 「かぐら、て、め・・」 「銀さん!」 駄々っ子の様に声を張り上げた神楽に、銀時の眉間の皺が深くなる。新八はそれを鋭い声で制して、そっと神楽の肩に手を置いた。 「神楽ちゃん、向こうに布団敷いてあげるから、そこで寝よう?ここじゃお腹冷えるし、ね?食べたくなったら食べればいいよ、取っておくから。眠いんでしょ?」 「・・・・うん」 新八が優しく宥める様に言うと、神楽は無言で顔を背もたれに向けたまま頷いた。そして新八に手を引かれるまま、神楽は立ち上がって和室へ向かう。 新八が押入れから神楽の使っている布団を下ろして敷いていく様子を黙って見つめる神楽の横顔は、まるで喧嘩に負けて拗ねている子供の様だった。 「はい、いいよ」 新八にニコリと微笑まれ、神楽はもぞもぞと布団へもぐりこむ。そのままカタツムリの様に丸くなった神楽の背を、新八はゆっくりとさすった。 「僕は確かに月のモノは無いから、痛いのか辛いのか分らないけど、姉上が偶にこうやられると楽だって言うんだ。楽?」 新八が尋ねると、神楽の被っている布団が僅かに動いた。どうやら頷いてくれたらしい。 「お腹もそうだけど、腰も冷やさないようにね。大丈夫だよ、慣れれば姉上みたいに一年中暴れたりできるから」 それもどうなんだと思うけど、何より身体を動かすことが好きなこの少女が、こうやって布団に潜り込んでいる様は見ていて辛い。 「・・・うして、こんなものあるネ」 「ん?」 くぐもった声で神楽が呟き、新八が聞き返すと今度はもう少しはっきりした声で神楽が言った。 「どうして、女にだけこんなのがあるネ。不公平ヨ、いらないよ、こんなの」 その言葉に、新八は彼女が戸惑っているのだなと感じる。そして、いつだったか妙が月のモノで酷く機嫌が悪く理不尽な言葉ばかり突きつけてきた時の事を思い出す。あまりの傍若無人さに、さすがに切れた新八が抗議すると、妙がふんぞり返って言った言葉がある。 「神楽ちゃん、これはね、神楽ちゃんがお母さんになれる準備ができましたって事なんだよ。神楽ちゃん、お母さんの事好きでしょう?いつかきっと、神楽ちゃんの子供も神楽ちゃんの事が大好きだって言うよ。だからね、いらないなんて言わないで。将来神楽ちゃんが好きになる人と、その人ととの子供が可哀相だよ?」 女はこんな面倒な事を毎月繰り返して、子供ができたら今度は妊娠期間に辛い思いをして、そして最後に出産で死にそうに痛い目見るのよ。男にそんな痛みは耐えられないの、男が出産経験したら痛みで死ぬって言うわ。だからそんな情けない男はね、せいぜい痛みと苦しみとだるさに耐えてる女の多少のわがまま位、聞くべきでしょう。 妙がそう言った時、新八はあんたは普段から我がままだと思いはしたが、何となく納得させられてしまった。男も女も、一人ずつペアになれば子供は作れる。けれど男は、作っておいて後の過程は総て女任せだ。そしてその間、女の人は男には分らない苦しみを味わいながらも腹の子を守る。男は子が産まれるまで、直接何もできはしない。 そんな女の人という存在には、男として精一杯誠意を見せるべきではないか。神楽もその女の一員になったというならば、多少の我がままや理不尽さを新八は甘んじて受けなければならないのだ。男として。 「マミーに、なるアルか?私が?」 布団から眼だけを出して、神楽が新八を見上げる。新八は、そうだよと笑いながら布団を軽く叩いた。 「神楽ちゃんは、一人前の女の人になったんだよ。男は絶対適わないんだ、子供は生めないもん」 新八がそう言うと、神楽は少し考えた後で、ふぅんと鼻を鳴らした。 「じゃあ、これからはもっともっとお前ら私を敬うヨロシ」 そんな可愛げのない事を一言呟き、神楽は目元をほころばせた。 ようやく神楽の顔に笑みが浮かんだ事にホッとして、新八はハイハイと応える。 ひとしきり腰をさすってやって、新八は寝てて良いよと和室を後にした。 「あんた、まだ読んでるんですか、同じジャンプ」 居間では銀時が先ほどと同じ体勢で同じジャンプを読んでいた。その不自然さに、つい新八は笑ってしまう。 銀時も、表には出さずに戸惑っていたのだ。それはそうだろう、どうみてもまだまだ子供にしか見えない神楽が、もう母親になれる準備ができたと証明されたのだ。 「もっとどっしり構えて下さいよ、銀さん僕より年上でしょ?下手したら神楽ちゃん位の娘だっていても可笑しくないでしょうに」 「まーてまてまて新八クン、俺のどこがあのヅラ坊主と同い年?冗談じゃネェよ、ガキなんていてたまるかってーの」 銀時はジャンプを胸に下ろして半眼で呻くが、新八はそれには構わず冷えてしまった昼食を広げだした。 「そんな甲斐性もあるとは思えないから、まぁどうでも良いんですけど。これから毎月、あんな大人気ない態度取るの止めてくださいね。全く、これでアンタが女の人と暮らした事がないのもバレバレだよ」 「なにぃ?新八、聞き捨てならねぇなぁ。銀さんてば、もてるのよ?引く手数多なのよ?」 「もてるもてないの話でなしに、女の人と暮らした事があるんなら、月のモノ一つでそんなうろたえないでしょうが。あぁもう、情けないなぁ」 「ちょ、ま、違うって。お前、他のその辺の女とよ?神楽だよ?なんつーか、こう、ショックが違うでしょうよ、例えるならババァにまだ月のモンがある位の衝撃よ?」 「よくわかんないですよ、その例え」 でも、言いたい事は分るなぁと新八は思う。確かに、まるで妹か小さい従姉妹がいきなり大人になってしまったような、そんな衝撃はある。 「でも、神楽ちゃんは神楽ちゃんですよ。いきなり変わったりしませんよ」 明日になれば、きっと気分も変わって元気に飛び出して行くんじゃないですか? 新八はそう笑いながら、冷えてしまった昼食に熱いお茶を淹れる。銀時も身体を起こしながら置かれた湯飲みを口元に運び、そうだなぁと熱いお茶に息を吹きかける。 「いきなりあいつが女らしく、化粧でもして男とデートーなんて言い出したら、ハルマゲドンだな」 「古いよ、古いよハルマゲドン。ちょっと懐かしくなっちゃったじゃないですか。でも分らないですよ、これから神楽ちゃんだってお年頃なんだし、いつかは誰かとデートだってするでしょ」 まるで夫婦の様な会話だが、本人たちはそれに全く気付かず、銀時は頑固親父の様にそんなものは認めん!と言い張った。 「その辺のチャラ男に神楽の相手なんか務まるかってーの。あいつ怒らせて痴話喧嘩なんて事になったら、この国一個壊滅すんぞ。そんな女怖くて彼女になんかできるか。いないいない、そんな究極のマゾ男」 確かに一理あるなと新八は背筋を寒くさせながら、しかしそんな神楽にも付き合えそうな相手を一人だけ思い浮かべた。 「あ、でも、沖田さんなら大丈夫じゃないですか?」 「なにぃ?」 「神楽ちゃんと本気で喧嘩するくらい強いし、あの人なら神楽ちゃんだって自然体で付き合えますよ。それに高給取りだし、顔だって悪くないし、もてるらしいですよあの人」 自分の考えが名案だとばかりに声を弾ませる新八に対して、銀時は不機嫌そうに眉をしかめる。 「ぜってぇ駄目、チンピラ警察二十四時なんかに、うちの神楽は任せられません」 無自覚なのだろうが、完全に父親の立場で物を言っている銀時にクスクスと笑いながら、新八はまぁそんな遠い話はともかく、と話を変えた。 「今日は折角だからお赤飯炊きましょうか。甘い小豆にしてあげますよ」 昔妙が月のモノを迎えた時も、そうやってお祝いした事を思い出す。 「お、マジでか」 甘い小豆、に反応した銀時が嬉しそうにご飯をかきこみ、和室へ通じる襖を眺める。 「あいつも、昼飯食ってねぇんだから夕飯は食うだろ。あいつが二食も抜けるわけねぇもんな」 「そうですね。だから銀さん、後で原チャ出してくださいよ。もち米買いに行かなきゃ」 「おう」 多少の混乱はあったものの、まるで愛娘の成長を喜ぶかのようにいそいそと夕食の献立を考える二人の様子に、ソファの下で腹這いになっていた定春が安心したように大きな欠伸を一つした。 大人の階段のーぼる〜、君はまだー、シ○デレラっさぁ〜。 BGMはこの曲で。 夜兎にお月様があるのかどうか分かりませんが、あるとしたらそろそろなってもおかしくない年だよね神楽ちゃんと思ったら出てきた・・・。 銀時父さん!俺の目の黒いうちは、男女交際なんて認めません!発言だよ。 そして何気に新八母ちゃんは実入りのいい沖田を買っている様子(笑) |