ベリー・ベリー・ベリー







『練習は夕方には終わるんだろ?だったら夕飯一緒に食えないかな』
 竜也からそんなメールがあったんは、練習終わって帰って飯食って、さて風呂にでも入るかなと思っていた時。
 一瞬何を言われてるのか分からなかった。やって竜也は所属するチームのある横浜に住んでいる筈で、自分は京都で。
『たつぼん、どこに居んの』
 思わずそう聞き返したら、五分も経たない内に返信が来た。
『今横浜だけど、明日オフなんだ。だから、行こうと思って。駄目?』
 駄目?てか!それを俺に言うんかお前はっ。あぁもう、どの面下げてそんな可愛ええ女の子みたいに”駄目 ?”て・・・っ。いや、あの、もうええ加減二十歳も終わりになるっちゅうのに女の子以上に可愛ええ顔で言うんやろうけど。
『んなわけ無いやん、来てくれるんや?嬉し〜いv』
 竜也からの思いがけない申し出に舞い上がって、思わず”久々に思いっきりデキルんやなっ”とか送りそうになる自分の心境を大分抑えてソフトに送ってみる。
 そしたらまた素早くメールを返してきた。
『ん、と。どこに行けばいい?』
 ああぁあぁぁ・・・。もう駄目。ん、て何やっ。ん、て!
 絶対これ打ちながら実際首傾げてる!あいっかわらずサラサラな前髪揺らして、かくんて首傾げて打った!
 はぁ・・はぁ・・・・。
 待ち合わせ聞かれとるメールだけで、こんだけ呼吸困難になれる自分がいっそ愛しいわ、ほんまに。
 直行で家に来て貰っても良かったけれど、万が一練習が長引いても困るし、竜也を部屋の前で待たすなんてことしたくないし、何より久々に会う恋人と、めっちゃベタなことをしたくなったので、余裕を見た時間と割と人通りも多いけれどその分待ち合わせに使うカップルも多いところを提案した。
 元々人ごみが好きや無い奴やし、プロんなって顔が売れてくるようんなってから、ますます街中とかで顔を合わすんが嫌になったらしいから、もしかしたら断られるかななんて思っとったけど、予想外に承諾のメールが返ってきて、後はもう上機嫌に風呂で鼻歌なんて歌ってみたりした。
 自分、年々阿保になっとるんやないやろか。
 遠距離恋愛っちゅうもんになる上に忙しくなるんも分かっとったから、もしかしたらまたオトモダチ程度に戻ってまうんやないかとか思っとった高校一年の春とか、有り得へんわ、ほんまにな。
 年々竜也狂いは進行中やっちゅうねん。


   大絶好調で練習メニューをこなし、先輩に”今日のお前怖ぇ、つか不気味やわ”という賛辞まで貰って、意外にも早めに待ち合わせ場所に着いてしまった。
 昔っから待ち合わせといえば竜也の方が先に来てるのが殆どだったから、何だか竜也を待ってるというだけの行為が酷くくすぐったく感じる。
 変装の意味など全く無く、ただファッションの為に掛けたサングラスでくすんだ色になる周りを見渡しながら、竜也の姿が見えないか探す。
「あの、藤村選手ですやろか・・・?」
 竜也を探していたら、ふいに斜め下から声を掛けられた。視線を落とすとそこには二人連れの女の子。
 あら、結構可愛ええやん、茶髪がよう似合うてるし。
「はい?何か用でっしゃろか?」
 竜也のことが一番好きだけれども、男としては可愛ええ女の子に声を掛けられるのが嬉しくない筈は無くて、思わず笑顔で答えてみる。
「あの、ファンなんですけど、サイン貰えますか?」
 そう言いながらおずおず手帳なんて差し出してくるもんだから、ごく普通に一般的な感想として、あぁ、可愛ええなぁ。女の子やねぇ。
 とか思ってしまったりなんかして、機嫌良く差し出された手帳とペンでサインをした。
 そしてサービスがてら、手帳を返した後で自慢の笑みを完璧に作りながら、二人と交互に握手をした。
「可愛ええ女の子に会えて、ほんまええ日やわぁ。おおきに」
 その上これから竜也に会えるなんて、本当に日々の自分の行いの良さが身に染みる。
「頑張ってくださいっ」
 ちょっとほっぺた赤くして、両手で握手してくるなんて、本当に可愛ええと思う。もう一度極上のスマイルを返しておいて、ふと顔を上げた。
「・・・・・・・・・・・・・・げ」
 数メートル先で、茶髪の男が踵を返したのが見えた。顔は見えなかったけれど、見間違える筈も無くそれは竜也の姿。
「ごめんなっ、待ち合わせしとってん!」
 慌てて女の子の手を離して、軽く謝罪しながら駆け出した。
 わざわざ人の多いところを待ち合わせに選んだ自分を呪いながら、逆行する人を掻き分けて何とか前に進む。
 いや、逆行してんのは俺の方やけど。
 横の流れに乗れば逆行する必要なんて無かってんけど、それすらもどかしくて竜也を追う。
 ひっさびさに会えたんに、女と手ぇ握り合ってるとこなんて見られたなんて末代までの恥や、藤村成樹!いや、単なる握手やねんけどっ。ファンサービスやけどもっ!分かってんねやろっ?なぁ!
「たつっ!」
 竜也は駆け出す様子も無くただ歩いていたから、すぐに追いつくことは出来た。その肩に手を置いて勢い付けて振り向かせると、竜也はきょとんとした表情で見上げてきた。
 高校に入った頃から徐々に身長に差が出始めて、今では竜也の方が五センチくらい低い。
 その位気にならないと言えば気にならないんやけど、こういう時僅かに見上げるみたいになるんが、ほんま可愛ええ・・・っやなくて!
「シゲ?ファンの子は?」
 久々に会ったというより、つい昨日会ってましたみたいにあっさり挨拶もすっ飛ばされて、いささか拍子抜けする。
「・・・・怒ってへんの?」
 さすがに息が切れるほどの距離でもなかったので、声に乱れは無かった。
 竜也はまじまじと見返してきた後で、少し眉根を寄せる。
「何でお前がファンに愛想笑いしてる位で、怒るんだよ。邪魔したら悪いなっていうか、俺が行ったら驚かせるかなって思ったから、適当にちょっと遠回りして来ようとか思っただけだよ」
 男二人が道端で立ち止まって一人が相手の肩に手を置いていて、それがちょっとサッカーに興味がある人なら知っているような人物で。
「・・・・せやね。間抜けなことしたわ〜。あ、行こか」
 遠巻きに立ち止まる人が出てきたことで我に帰って、竜也を促して歩き出す。
 少し物珍しそうに周囲に視線を巡らせながら歩く竜也を視界の端に捉えながら、たつぼんも成長したなぁ・・なんて感慨にふけってみる。
 それはそれで寂しい感じやけど。
 そのまま大した会話も交わさないでマンションに近づいた頃、竜也が少し短くなった髪を揺らして、思い出したように振り返って笑った。
「あ、久しぶり」
 くっそ、そのちょっとズレたテンポだけは変わらんといてっ。ついでに言った後で自分で照れて視線逸らすなんつー、お決まりの反応までしてくれて、何かのサービスですか。ただし俺限定な。他の奴にしたら、そいつ死なすで。
 あぁああぁもう、まじでこの場で抱きしめたいわ、阿保。
 さすがに往来で抱きしめるわけにもいかないから、エレベーターん中で軽くキスするだけにしておいた。
「お久しぶりですぅ」
 唇を離した後でそう言ったら、照れ隠しなのか軽く睨み付けて来ながら、
「返事遅ぇよ。ボケたのか?」
 何て言ってくるし。
 今更キスだけで照れてくれんな、言われる方が恥ずかしくてこっちの心拍数のがヤバイわ。

 それでも一応理性をフル稼働させて、着いてすぐに竜也をいただきますは我慢した。約束していた夕飯は、竜也の好きな明太子スパとビールで久しぶりの再会に乾杯して、最近のお互いのプレースタイルなんて語り合ってみたりして。
 まるで健全なオトモダチみたいで。
 ・・・・・・・・マジでお友達やないよな?
 何故だかそんな考えが頭をよぎって、最近のチームの先輩の面白い話をしている竜也のビールに手をかけた。
「シゲ?」
 アルコールが入ったせいで少し潤んだ目で怪訝そうに見返してくる竜也の手から、ビールを奪ってテーブルに置く。
 それだけでもう伝わってしまったらしく、竜也は置かれたビールを目で追ってから、視線を戻してきて瞳を細めて笑う。
 眦がピンクに染まってて、触れた唇がもう熱を持っていた。
 やっばい、こいつもめっちゃ欲情しとるやん。
 その事に自分の方がますます欲情して、テーブルとソファの間に竜也の身体を押し倒した。
「シゲ・・、ちょ、ここで?」
 右側の首筋を舌で辿ると、左よりも性感帯を煽るらしく、竜也の指が肩を掴んだ。
「すぐヤりたい、今ヤりたい、もうどこでもええ、もう無理」
 やってお前、髪の毛とかむっちゃええ匂いやねんもん。シャンプー変えたやろ。前のもええけど、こっちの方が好きかもしれへん。
 首筋を舐め上げて耳朶を噛む。そして輪郭を舌先でなぞるように辿れば、もう竜也の中心が熱を持つ。
 頬を赤く染めて眉をきゅって寄せて、耐え切れないみたいに震える息を吐き出す竜也。ジーパン越しに硬くなる竜也自信を軽く握ってやると、
「・・っあ・・」
 相変わらずええお声。
 完璧お前、準備万端やんけ。なのに何で肩押しやろうとするんっ。無駄な抵抗、疲れるから止めてや。
「たつぼん、諦めて?シよ」
 竜也が好きだと分かってる、少しトーンを落とした声で懇願するように囁けば、竜也は困ったように眉尻を下げて、言った。
「ベッドがいい」
 お前、こんな状況で場所変更提案か。いや、そないな距離やないけどな、そういう問題ちゃうねんて。今すぐこのままお前のパンツごと引き下げて、最近ご無沙汰やからきっとまた狭くなってるアソコ舐めて弄って広げてやって、ぶち込みたいねんて。
 たかが数メートルの距離言うけどなぁ、その距離移動するだけででかいんやて、今の俺。切羽詰まりまくりやねん、分からんように笑っとるけどもっ。
 そんな内的事情があったものだから、きっぱり竜也の意見は却下させて貰おうと思ったのだけれど。
「ベッドの方が、思いっきりできんじゃん・・」
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・してもらいましょう!!と言うよりさせて貰うよ!思い切り!
 竜也の身体を力任せに引き起こして、深く口付けた。
「ふ・・っん・・!」
 前置も何も無しにいきなり舌を入れて竜也の舌を絡め取る。上あごを舐め上げて歯列をなぞれば、竜也の腕が肩を叩く。
「あっ、は・・、シゲ・・・っ」
 抗議するみたいに肩を叩いて名前を呼んでくるけれど、そんなものはあっさり無視して竜也のベルトのバックルに手を掛ける。
「ちょ、シゲ・・!!」
 人の話聞いてたかっ、と顔を真っ赤にする竜也に構わず、キスは止めずにベルトを外す。
「一回抜こ。こんままヤッたら、たつぼん壊してまいそう・・」
 キスの合間にそう告げたら、触れていた竜也の中心が一回り大きくなる。
 男やもんね。
 キスをしながら頬に笑みを浮かべると、竜也の指が震えがちにズボンのファスナーに伸ばされた。
「俺抜いてどうすんだ、馬鹿。落ち着かなきゃいけないのは、お前だろ」
 竜也は俺が散々今舐めたせいで赤くなった唇で淫靡に笑って、股間に身を沈めてきた。
「たつぼん・・っ?」
 うっそーー、そんなん今まで俺がお願いしてお願いして、やっとしてくれとったやぁん。何で今日そないに積極的なのぉ?
「うっさいな、したいんだよ」
 ・・・・・今のでイかなかったんが不思議や、俺。て、嘘、ちょっとマジですか、電気も点けッぱなんですけど!?
「ん・・・」
 竜也の口に自分のモノが咥えられてるなんて、考えただけでも膨張率アップて感じなのに、目の前で蛍光灯が煌々と点いた所で、実際竜也の頬の上から自分のモノの形が分かる光景なんて、卑猥すぎる。
「ん、ふ・・っ」
 咥えて、抜いて、指で裏筋辿られて。溢れた先走りを舌先で塗り込めるように舐められて。
「ぅ・・っ、あ」
 そらこっちの腰も揺れるわ。こんなん、どこで覚えてきたんやろ。て、あぁ、俺か。
 それは自分が達也にする愛撫と同じ手順で、それを忠実にトレースする達也が愛しくて堪らない。
「ふぁ、む・・ぅ」
 竜也の唇から、唾液と先走りの混じった粘液が溢れてあごに伝う。気持ち良さの余り竜也の思わず竜也の髪を掴むと、目だけで笑われて。
 くっそ、悔しいけど、気持ちええわ・・っ。
「イき、そ・・」
 身を屈めて竜也の後頭部にキスするように唇を近づけると、竜也の舌がねっとりと自分のソレを舐め上げる。そして竜也は一旦身体を離して、自らもどかしそうにズボンを脱ぎ捨てた。
「しゃぶって、感じた・・?」
 着たままの竜也のシャツの裾から竜也の昂りがちらりと視界に入って、からかうような笑い含みで尋ねると、竜也は返答無しに深く咥え直して追い立ててくる。
「く・・っ、あ、あ、あ・・やば・・!」
 出る・・!うわ、顔にかけたいんやけどなっ、ほんまは!
 でも今から本番やし、その前にたつぼんの顔汚すの嫌やし、まだまだ身体中嘗め回したいしっ。て、俺結構まだ余裕あるやんっ、さっすが俺・・て、でも、さすがにっ。
「竜也・・っ、飲んでなっ」
「んぅ・・・っ」
 竜也の熱い口内に果てて、一旦力を失ったモノを引き出す。竜也は少し表情を強張らせながらも、それを全て飲み下してくれた。
「ありがとぉ。さて、と。お礼にたぁっぷり気持ちよおしたるから、ベッド行こか?」
 言うが早いか一目散に竜也を寝室に引っ張り込んで、ベッドが迷惑そうに二人分の体重に鳴くのもお構い無しにダイブする。
「ぐは・・っ」
 何て色気の無い声出すんやろねぇ、この子。
「お前っ、殺す気か!」
「まっさかぁ、死ぬなら俺の下で死んでv」
 別に上に乗ってくれてもええねんけどなv
 竜也のお得意の照れ隠しの罵倒飛んでくる前に、先程から放っておかれっぱなしの竜也のモノに手を伸ばす。
「は・・ぁ・・」
 途端に鼻から抜けるような甘い声を上げて、汗ばんだ腕を首に回してくる。
 可愛ええ、可愛ええ、めっちゃ可愛ええ〜〜v男やのに、こんなに立派に男の子やのに、なしてこないに可愛ええかな、こいつ。
 瞼にキスして、鼻頭をぺろりと舐めて、そして唇にも・・と思ったところで竜也の手が割って入る。
「何?」
「だって、さっき、咥えた、し・・・・」
 咥えた、て言葉がこいつの口から出ると、何で卑猥度三割り増しなんやろ。
「ええやん、して?」
 お願い、と言って先走りの溢れる先端にぐりゅ、と爪を立ててみる。
「やあぁっ、は・・っ」
 背筋ぴんと張って頭振ってもうて、あぁ、まじでええ。
 背筋を反らされて逆に突き出される格好になった胸元に、シャツ越しに興奮した乳首が浮き出ていて、目茶目茶やらしい。
「これ、好き?」
 シャツを捲り上げて直に硬くなった乳首を弾くと、竜也の腰が艶かしく揺れる。
「やっ、きら・・!」
「嫌い?」
 うっそぉん、お前ここだいっ好きやん〜〜v舐めたり転がしたりするだけやなくて、偶に噛み付いたったら、泣いて喜んだやん。
「ふうん、嫌い?これも?」
 言いながら赤く充血した小さなその乳首を口に含む。
「はっ・・うっん」
 舌で気の済むまで舐め回して同時に下も擦ってやると、竜也はあっさり手の中で果てた。
 肩で息をする竜也が落ち着くのを待ってやっていたら、竜也は何故だか怒ったような視線を向けてくる。
 え、なんかした?俺。良くなかったんかな。
「シゲ、中・・・も、熱い・・」
 うわあああぁぁぁあ!!いつからお前、そないなふしだらな子にっ!!?いや、もう、だいっかんげいですけどねっ。
「そら失礼?」
 嬉しくて嬉しくて、すぐさまベッドの端に置いてあるクッションを取って竜也の腰の下に入れてやる。どうしたって男同士は受身の方が負担だから、少しでも竜也の腰に辛くない体勢を取ってやりたい。
 そしてそのまま竜也の足を抱え上げようとしたら、竜也が真っ赤な顔をして一言。
「さんきゅ」
 だあっ!挿れる前にイかせる気かっ、おんどれわ!!おでこに前髪張り付かせて目尻に涙ためて身体中ピンク色に興奮さして、んな台詞を吐くんやないっ!
「いえいえ、これからやで、お礼を言われるんは」
 けれどもここは攻めの男の意地として、全くノーダメージの振りをして竜也の足を抱え上げる。
「あ・・んっ」
 舌で入り口付近を濡らして、徐々にその個所を開いていく。最初は硬く閉じていたそこも、何度か舐めてやると思い出したのか柔らかく収縮し始める。
「ん、ひくひくしてきたで」
「言うな・・っばか!」
 指が入る位までほぐすと、身体を起こしてぱさぱさと頭を振りながら開かれる快感に耐える竜也を見下ろす。
 色っぽー。ほんまにべっぴんさんv女みたいに柔らかい線しとるわけや無いのに、しっかり筋肉も付いとるのに、なしてこないに綺麗なんかな。ほら、腹筋とかめっちゃぴくぴくしとるし、また勃ってきとるし、男やのになぁ。
 二の腕の筋とか浮いた鎖骨とか、引き締まった腰とかな。絡まってくる脚とかもうほんっまに堪らんねんて。そんでもう、こないに眉しかめて身体震わせて汗浮かべて、全身で気持ちええですって言うてるのに、やのに口では素直やないんよねぇ。それがまたええーーーー!!て、俺誰に解説しとんのやろ。
「なに・・っ?」
 開くように中を掻き回しながら思わず竜也に見惚れていると、竜也が不安そうな目で見上げてくる。無言になったことに不安を感じたのだろう。そんなとこも堪らないんだから、重症だ。サドくさいと自分でも思う。
「ん?あぁ、すまんすまん。見惚れてたわ」
 正直に言ったのに、竜也はからかかったと思ったのかぎゅっと目を閉じてしまう。
「ばか!」
 あ、もう駄目、限界。
「挿れてええ?」
 薄く開いて荒い息を吐く唇を貪ってますます息を乱してから、唇を舐めながら問う。竜也はシゲの腰を引き寄せるようにして足を絡ませながら懇願した。
「も、挿れ、て・・!」
 うーわ、しーあわせv
「んーーーーっ!んっ」
 挿れたらもう後はただひたすらに頂点を目指すだけ。抱きついてくる竜也が耳元で、
「シゲ、シゲ・・っ、駄目、も、気持ちい・・!」
 何て言ってくれちゃって、ますますこちらはヒートアップ。女だったら文句を言ってきそうなくらい力任せに抱き締めて、同じ様に耳に吹き込んでやる。
「たつや、たつ・・っ、ほんま、エエ・・っ?」
 もう言葉にならなくてただこくこくと頷いてくる竜也の髪に額に口付けて、舌を出して強請ってくる口にも口付けた。
「シ、ゲ・・!」
「たつやっ!」
 同時に果てて、汗まみれになった身体を竜也に重ねる。竜也が肩にしがみついてきて、あ、重いかなと思った。
「すまん、重いな」
 そのままそっと萎えた己のモノを引き抜こうとしたら、竜也の腕がますます強く肩を引き寄せる。
「たつぼん?」
 どうしたのだろうと思って竜也の顔を覗きこむと、竜也は困ったような起こったような表情で見上げてきた。
「お前、練習で疲れてるよな・・?」
 はい?そら、まぁ、先輩を恐怖させる位には頑張りましたけど?
「うん、そだよな。ごめん・・あの、でも、その・・・」
 え、もしかして、たつぼん、またその気?
 微かに反応し始めてるっぽい竜也のモノが腹に当たって、直球で聞いてみる。
「まだ足りひん?」
 途端に竜也の頬が更に羞恥で赤くなる。なるほど、困っても怒ってもいなくて、照れてたのか。
 真っ赤になって目を逸らしてしまう竜也がもう、言葉に出来ないくらいに可愛くて、そんな心を代弁してくれたのは素直な身体。
「・・ぁ」
 竜也が小さく呟いて、目元を真っ赤に染めて恐る恐る見上げてくる。
「復活、した?」
 しましたとも竜也さん。しない筈が無いでしょうっ。
 そのまま証明するように軽く腰を突き上げると、竜也が唇を噛んで抑えた声で呻いた。
「んっ、ん・・っ」
 ぎゃあぁぁあ!鼻血の海で溺れ死ねとでも言うんか、おんどれええぇぇぇぇぇええ!!
「なしたん、たつぼん。俺は嬉しいけど」
 あぁもう、ナンなのこの子!今日は何!?あっかるいとこで咥えてくれたかと思えば二回目のオネダリなんて、そんなの今まで片手で余るくらいしか無いわよ、ちょっと!シゲちゃん、びっくりで心臓止まるわ!
 んな、まるで。
「ホントは、今日休みだなって思った時から、したい、て思ってて・・・。何だろ、発情期、かな・・・俺」
 猫ちゃんかああぁあ!にゃんこちゃんなんかっ?己は人類やなかったんか!
「・・シゲ?」
 いやもう全然オッケー、気にするな。だから、恥ずかしそうに上目遣いで見んといて、すぐ暴発しそうやから。
 こうなったらシゲちゃんの愛は、種族をも超えることを証明したりましょう。そらもう一晩かけて、じっくりと。
「・・・・・・・・・・・・・俺の発情期はたつぼんの比や無いで?今ので火ぃ付いたわ」
 言うなり、激しく竜也を突き上げ始めた。
「あっは・・!」
 喉を反らせて啼く竜也の首に、キスマークなんかじゃ済まない噛み跡を付けてやった。






END.











あったまわるーーーー・・・・・・・・・・・。
シゲおかしい。でも多分、いっつも余裕かまして竜也のこと苛めてるように見えて、頭の中はこんなもんですよ。
単なるカッコ付けじゃん。余裕?何それ、こいつ何?
そんなシゲも好き。
駄目ですか。
パラレルでシリアスシゲ書いてるから、反動でこんな感じなのかも。同一人物じゃねぇ。(大笑。