(ヒ)魔王銀時と、流され勇者新八「4」


「あー、沖田君来たのー。ってもうそんな時期ぃ?」
「へい旦那、相変らず一ヶ月前と寝相が変わってませんねィ」
「だってさぁ、寝返り打つのも面倒でねぇ。あ、サインでいい?」
「判子、相変らず行方不明ですかい。んなこと言ってっから、下界は干ばつで大変ですぜ」
「え、マジ」
「大マジでさぁ。あんた二ヶ月、鏡見てないでしょう」
「あー・・・そういや神楽がそんなこと言ってたなぁー」
「そいや、チャイナは?」
「隙ありアル、どSウゥゥウウウ!」
「うっわああぁあああ!!!シャンデリアから突撃イイィイ!?」
「毎月会ってる人間の名前くれぇ、いい加減覚えたらどうでぃ?このまな板胸寸胴女っ」
「って、あんたどこにそんな剣持ってたの!質量保存の法則は!?」
「お前こそ、レディーに対する口の利き方がなってないネ!」
「うっわあああぁぁああ!人を挟んで激闘するなぁぁああああ!!ていうか、何あの子!人間!?」
「いやー、あまりにも退屈だから適当に魔道書見ながら適当に材料揃えて適当に呪文唱えたらできちゃってさぁ・・・食うわ食うわ、供物とか言って他所様から食糧分けてもらわねぇと生活できないくらい食うわ、その上創造主である俺の言うこと聞かないわで、俺も困ってんだよねぇ」
「・・・・ハァ」
「燃費が悪いのは、銀ちゃんが私を作る時に材料ケチったせいネ!女の子はキャンディーとか綿菓子とか、甘いものでできてるのに、銀ちゃん自分が食べたいが為に、それをケチったネ!」
「そりゃお前、何で俺の好物をあんな怪しげな魔法陣に惜しみなく捧げなくちゃなんねぇのよ。そりゃ俺が食べるよ」
「あー、だからオメェ、そんな気の毒な貧相な身体してんだねぃ」
「やっかましいアルウウゥウウ!」
「ていうか、あんな子に対抗できてる沖田さんも、最早人間!?」
「あれも特殊だろうねー、神楽に会いたくて毎月毎月、村人が嫌がる供物運びやってんだからさぁー」
「・・・・ハァ」
「で、そんな特殊な人間にくっついてきてぽかんと口開けながらも必死でツッこみ続けるお前は、だぁれ?」
「えーと・・・・世界一高いと言われる山の上にどでかい城を建てて、その中の物凄い豪奢な部屋に天蓋つきのベッドをどどんと置いて、その上でこの上なくだるそうにやる気の微塵も見せずに横たわってる貴方も誰ですか・・・」
「おれぇ?んー・・・魔王?」


・・・・・続く(やるせないほどの虚脱感)



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