(ヒ)魔王銀時と、流され勇者新八「8」


「えーと・・・これはなー・・・あれだ、神楽が俺の甘味を横取りしようとしたから・・・かな」
「年下の、しかも女の子と本気で甘いものなんて取り合わないで下さいよ。折角整理したジャンプがぐっちゃぐちゃじゃないですか」
「理由言ったって言わなくたって怒るんだから、わざわざ言わせんなってーの・・」
「何ですか、銀さん。このジャンプ全部燃やされたいって?」
「いえいえ、何でもありません、すいません。俺の青春燃やさないで下さい、そんなことしなくてもジャンプは読んでるだけで燃えてきますから」
「でも銀ちゃん、今までよりほんのり瞳に光が入ってるネ。脳みそ使うようになったからアルか?」
「んなわけあるか、これは単に城に光が入ってるからだろうがよ」
「そうアルか?明らかに前より、楽しそうアル」
「お前、ジャンプ読め、そして正しい言葉を理解しろ。朝一で叩き起こされて飯を食わされ、その上三食管理されるわ甘味は制限されるわ、掃除させられたりオートだって言ってんのに鏡をチェックさせられたり、これのどこが楽しいんだ」
「銀ちゃん、ドMだったアルか?」
「んなわけあるかリターンズ。どっちかと言えば、Sだ俺は」
「アンタのSM談義なんてどうでも良いですから、早く今日の鏡の様子見に行きましょうよ」
「はぁー・・・・なんで流されてんのかねぇ、俺・・」
「銀ちゃんの流され人生なんて、今に始まったことじゃないネ」
「お前、俺の人生の何を知ってるって言うの?」
「良いから行ってこいヨ、新八も一人残してきた姉が心配なんだヨ」
「知ったよーな口利いてんじゃねぇよ、ジャリが」
「それも死語アル」

「早く、銀さん!」
「お前さぁ、使い方教えるから勝手に弄ればって言ってんじゃん」
「銀さんの物なのに、勝手に弄れませんって。それにこうやって習慣付ければ、銀さんだって定期的に鏡を見るかもしれな・・」
「それは無いな」
「「何で?」か?」
「・・・・」
「こないだの、仕返し。でもまぁ、何でかは教えてやろうか。俺には、ここに映る生活なんざ縁の無いもんだからだよ。お前、ぜってぇ食えねぇ高級マスクメロンとか眺めて楽しいか?空しくなるだけだろ?そんなもん楽しめるのなんざ、ドMだね。俺はSなの、悪いけど。偶々こんなモン持っちまってるから、一ヶ月ごとに調整はするけど、それだけだ」
「何で、それならこんな物持ってるんですか・・・」
「んー・・・何となく」
「なん・・」
「ストップ、だ。新八、お前は一月ここにいるだけの客だろ?悪ィけどそこ以上は入れないの、分かる?俺に理由なんざ求めるな、面倒クセェ。俺は、呼吸が止まらないから生きてるだけさ。自分で止めるのもメンドクセェ。じゃぁな、後は勝手に見てな」
「じゃあ何で、何で、あんたはここに僕を置くんだ・・・っ」


・・・・続く(終んの、コレ)



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