2 いっそ溶け合えたら 虫の声と低く顰められたクラスメイトの声。室内に聞こえてくるのはそれだけで、準太は壁に寄りかかりながら窓の外を仰ぎ見る。 クラスメイト達の話題は終始恋愛話と下ネタで、普段ならばそこそこ乗る準太だが今日はそんな気分にならなかった。 「でよ、4組の坂本!意外に胸でかいんだってよー」 「マジかよー」 「マジマジ、あいつと付き合ってる陣内が言ってたもん」 「うあー、陣内殺してぇー」 誰の胸がでかかろうが、それを彼氏が自慢しようが、そんなものはどうでも良かった。 (でかけりゃ良いってもんでもねぇだろ) やっぱ感度だよな・・と胸中で会話に参加しながら、準太の脳裏には一人の人物が浮かぶ。 胸は小さいというか全く無いが、感度はぴか一の後輩。柔らかな身体ではないが、しなやかな身体。可愛い声ではないが、艶やかな声を上げる。華奢ではないが、発展途上の未完成の肢体は脆さを感じさせる。 (あー・・・ありえねぇ) 部活に没頭していれば一週間触れ合わないこともざらだというのに、たかが二泊、彼に触れられないのだと思うだけで準太の中に焦燥感が生まれる。 あの大きな瞳を涙で潤ませたい、紅く染まった首筋に舌を這わせて震える肩に噛み付きたい。 坂本という人物の胸について大いに盛り上がっているクラスメイト達には気付かれないように、準太は湿った吐息を吐き出した。 あぁ、いっそ一つに溶け合えたら、離れていることへの寂寥感もどうしようもない渇望も抱かなくて済むのに。 また準サンが、何やら危ない思想に走る人になってる・・・どうしてこう、利央大好きっ子なのかしら!(子? |