9 ひとつになっちゃえ 宿泊学習で使った荷物を全部出して、空いた場所に明日使う勉強道具や部活動具を詰め込んだ。完全に日も落ちた頃、準太はその鞄を背負って自転車を漕いだ。 インターホンを鳴らして間もなく玄関を開けたのは利央本人で、彼は少しはにかんだように笑って『お帰り』と言った。 「もしかして、泊まる?」 準太の荷物の量を見て期待とも困惑ともつかない表情で尋ねた利央に、準太はおうと短く答える。 「えと、母さんに言って来るから、ちょっと待ってて」 扉の内側で立ったまま、準太は利央が母親に先輩が泊まるからと告げているのを聞いた。夕飯は?と尋ねる母親に、利央が廊下に顔を出したので食べてきた、と返答する。 「食べてきたって。布団出してくれるだけで良いから」 そして利央は玄関に戻って来て、どうぞと来客用のスリッパを準太に差し出した。 何度も訪れたことのある利央の部屋に入り、ベッドの側に荷物を下ろす。振り返ると、利央が戸口に立ったまま準太にじっと視線を注いでいた。 「んだよ、何突っ立ってんだ」 すると利央は目元を紅くして、そわそわと視線を泳がせる。 「や、だって、さぁ・・・準サンだなぁと思って・・・。変だよねぇ、期末とかで部活無い時だってあるのにさぁ、そういう時のが会わない日だって長いのにねぇ・・・。でもさぁ、なんか・・・」 間延びした口調で羞恥をごまかそうとでもしているかのように喋る利央に、準太は無言で近付きその目元に唇を寄せた。 「わ・・」 反射的に目をつむった利央の紅く染まった目元に舌を這わせながら、準太は小さく笑う。 「布団、来るまでお預けな。どうせ使わないだろうけど」 そして準太はそのまま唇を滑らせて、利央の唇にそれを重ねた。啄ばむようなキスに利央の肩が震え、準太は布地の下にあるその硬い骨に早く歯を立てたいなと思った。 ただ快感を追い、頂を目差す。そんな単純な欲で、二人で一つになってしまえば良い。 わーあわーあ、下にご両親いるのに!準サンたらチャレンジャー!(待て。 |