シゲは水野の服を脱がすとき、本当に楽しくて仕方がないというような表情をする。それこそ、絶妙のタイミングでゴールにボールを叩き込んだのと同じくらい。 以前それを本人に言ったら、「ほんまにたつぼん、なんでもサッカーに繋がるんやな」と笑われた。それが何か悔しかったから、それから二度と口にすることはないけれど、それでもそんな気がするのは相変わらずだ。 「こおら」 「って」 シゲの指が水野の鼻を軽くはじいた。間近に迫る顔に焦点を合わせて睨み付ければ、吊り目を拗ねたように細めるシゲ。 「何考え事しとんの」 そう言いながらシゲの手は、前のボタンがすっかりはずされてしまった水野の胸に滑り込んでくる。 「・・っ別に・・」 冷たい指の腹でまだ淡い色のままの胸の突起に触れられて、水野は快感よりも悪寒を感じて背中を震わせた。シゲは片手をそこに残しつつ、もう片方の手をさらに下へと下ろしていく。 「たつぼん、慣れてきたんはええけど、考え事するくらいリラックスされても俺へこむで」 ちゅ、と音を立ててこめかみに口付けるシゲの髪に、水野は軽く指を絡ませた。 「何でもないって」 お返しとばかりにシゲの額に口付けると、シゲは"そうか?"と笑い、目蓋、鼻、頬、首筋と唇で辿って胸元まで降りていく。 「ん・・」 冷たい指先に弄ばれ、その温度差に感じ始めていた水野の胸の突起は、軽く硬くなり始めている。その反対側のほうにシゲが舌を這わせると、水野の口から息を呑む音が聞こえてきた。 「気持ちいい?」 尋ねながらシゲがそこを押しつぶしたり吸い上げたりしてやると、下でまさぐっていた水野自身も反応し始める。シゲはそちらの方にも、形を確かめるように指で辿って愛撫を施してしてやる。 水野の余り日に焼けない肌が、徐々に薄いピンク色に染まってくる。目尻も紅潮し始めて、生理的な涙で瞳が潤み始めた。 シゲは、自分だけが知っている水野のそんな変化に、身の内からゾクゾクと震えが走る程欲情してくるのを感じた。 「あ、あ、シゲ・・や・・」 鼻にかかった甘ったるい息を漏らしながら、水野は快感に耐えるように首を振る。身体はこんなにも快感に慣れてきたというのに、まだそれに抵抗しようと理性を探る水野に、シゲは胸元から顔を上げないまま言ってやる。 「たつぼん。ほんまに慣れたなぁ。前までコンナトコでなんか感じへんかったのにな」 コンナトコ、を強調してシゲが両側の突起を摘み上げると、水野は短く悲鳴を上げた。 「っっ・・。そ、いうこと・・言うな・・・」 「なのに、いつまでも恥ずかしがり屋さんやな」 シゲの唇が透明な糸を引いて水野の胸から離れた。そして覗き込むようにして水野と視線を合わせ、至極真面目な顔をして質問をする。 「どないする?」 「なに・・が?」 荒くなった息を継ぎながら水野が聞き返すと、シゲはすっかり形を変えた水野自身を少々力を加えて握りこんだ。突然の強い刺激に水野が眉をしかめる。 「脱がへんと、ズボン汚れてまうよ?」 「・・・!!」 真っ赤になる水野に、シゲはさらに声を低くして囁いた。 「ま、パンツはもう手遅れやろうけど。・・・この分だと、びしょびしょやない?」 その掠れた声音が、水野の鼓膜から背中、そして腰を刺激する。 「・・・・や・・・・」 思わず顔を背ける水野。そんな水野の羞恥心にもかかわらず、強くソコを揉みしだかれて水野の腰は、知らず知らずのうちにシゲの手に自らソレを擦り付けていた。 「ほんまに・・・。身体の淫乱さとこーいうとこのギャップが激しいな、たつぼんわ」 耳元でシゲが笑う。水野はきつく唇を噛み締めて、ぎゅ、と瞳を閉じる。羞恥で耳まで真っ赤になった水野の髪を、シゲは優しく撫でてやる。少し汗ばんでしっとりとした水野の髪は、柔らかくシゲの指に絡んできた。 そしてまるで迷子に話しかける時のような声音で、 「悪ないよ、俺はそのほうが嬉しいし・・」 脱がしてもええ? 尋ねながらも既にボタンを外しにかかっているシゲに、水野は小さく頷き返した。 「・・・う、ふ・・。・・や・・・だ、もう・・」 水野は、自分でさえ触れたことなどないソコを出入りするシゲの指が立てる淫猥な音に、耳を塞ぎたくなる。しかし水野の手はシーツを固く掴んでしまっている。そうしていないと、焦らされている様なむず痒い快感に耐えられなくなりそうだったのだ。 「もう、ええかな。ほぐれんの早なったな」 「ばっか・・!ひ・ぁ・・っ」 ぐちゅり。シゲがローションを水野の秘孔塗りこめると、水野は甲高い悲鳴と共に背を弓なりに反らせ、太腿には水野自身の先走りと溢れたローションとが伝い落ちて、シーツに染みを作っていく。 シゲはその卑猥な光景に思わず唇を舐めた。もうとっくの昔に、シゲ自身もズボンの前がきつく感じるほどに成長してしまっている。シゲは片手の指二本で秘孔を開いて、空いた方で自分のズボンのジッパーを下ろしていく。 「あ・・」 ジジ・・という無機質な音に、水野の秘孔が無意識にキュ、とシゲの指を締め付けた。水野の鼓動が、緊張や恐怖からではなく、一段階早くなる。開かれた部分の奥が、妖しくひくつき始める。 「ええ?」 「んっ・・」 シゲの昂りが入り口に押し当てられ、水野は息を詰めた。何度肌を重ねても、この瞬間の緊張は拭いきれない。 「そんなに力入れたら痛いで」 そんな水野の様子にシゲは苦笑して、意識を散らしてやるためにもう限界間近の水野自身に再び指を絡めた。何度か緩く擦り上げてやると、水野が潤んだ瞳を薄く開いてシゲを見上げた。 「シ・・ゲ」 半開きにして浅い呼吸を繰り返す唇を、濃厚な口付けで塞ぐ。シゲの口内で水野の舌が淫らにシゲのそれに絡み付いてきた。 水野の身体が弛緩し始めるのを見逃さずに、シゲが徐々に体を埋めていく。 「あ・あ・あぁ・・っ」 シゲの唇の間近で呻く水野の熱い吐息が、シゲの欲望をいっそう煽った。 「ん・・・。入っ・・た。分かる?たつぼん・・・」 「やっ・・まだ・・ごく・な」 存在を主張するように、ぐいと腰を揺らしたシゲに、水野は整わない呼吸で訴えた。ソレは、まるで身体の半分まで入り込んでいるかのような圧迫感をもたらす。 「だいじょぶ、か?」 息を整える水野をシゲが上から覗き込む。その目は水野と同じようにやや潤んでいて、頬も軽く上気して、汗がこめかみを伝っていた。 (あ、気持ちいいんだ) そう思った瞬間、水野の内壁がシゲをさらに奥に誘うかのように蠢いた。 「く・・」 低く呻いて、何かに耐えるかのように眉根を寄せるシゲ。待っていてくれるのだと思うと水野の胸に、単なる性欲以外の何かが込み上げてきて、水野はシーツを掴んでいた手を解くと、シゲの頭を引き寄せた。 「も・・平気」 「ほんまに?」 返事の変わりに微笑んでやると、シゲも同じように微笑んで、そして水野の腰を抱えなおした。 「あ・・っ」 反らされた水野の細い首筋に、シゲは跡が付くくらいのキスをした。 最初は浅く抜き差しを繰り返して、水野自身がシゲを求め出すのを待った。一番の快感を与えてくれる場所になかなか届かないことに水野が焦れて、その内シゲの腰にその両足を絡めて、シゲを引き寄せる。 「やっ・・。あ・あ・い・あ・・、や・・だ・・」 「もっと・・?」 荒い息が耳にかかって、水野はソレにすら感じずにはいられなかった。 「欲しい・・?」 「ん・・・!」 より一層背中に爪を立てる水野。それなのにシゲは意地悪い笑みを浮かべると、ぎりぎりまで腰を引いてしまう。 「や・・っ」 水野が無意識に物足りなさを訴えると、シゲは今度は一気に自身を水野の最奥まで叩き付けた。 「ひ・・ゃ・・っあ!」 突然の衝撃に、水野の喉が引きつる。シゲはそのまま奥にある水野の一番感じるポイントを攻め立てた。 「ああっあっあ、やっだ・・っ。そこ・・、や・・ぁ」 「何言うてんの・・。離してくれへんのは、たつぼんやろ・・」 「ち・・がっ」 シゲの言葉を理解する程度にはまだ理性も羞恥も残っていて、水野は言葉だけでは否定するが、その腕も脚も、何よりシゲと繋がっている場所が、シゲを捕まえて離そうとしていない。 「ほんまに・・・淫乱・・」 シゲは自分自身と繋がる水野のソコに視線をやって、薄く笑った。普段のストイックさなどどこへやら。水野は大きく足を開いて、シゲ自身を受け入れ、あまつさえ自ら腰を揺らしているのだ。 水野は自分がシゲの目にどう映っているのか想像するだけで、死ぬほど恥ずかしさを感じる。なのに、同じくらい快感も感じてしまって、もうどうしたらいいのか分からず、ただ目尻からは涙が零れ、喉からは嬌声が漏れ続けた。 「シ、ゲ・・っシゲ・・ぇ!」 「んっあ・・ったつ・・や・・!」 水野はぼんやりと目を開ける。喉が痛いのはいつものことで、だから声は立てなかった。 隣には、少々窮屈そうに背中を丸めて眠るシゲの姿。普段よりも幾分幼く見えるその顔に、先ほどまで自分を貪っていた男のイメージが直結しなくて、水野は苦笑した。 裸の肩にかかる空気が冷たくて、水野は再び布団に深く潜り込む。するとシゲの裸の腕が水野に絡んできた。 「シ・・ゲ・・・」 喉が痛いせいと起こさないように気を使ったせいで、呼んだ名前は単なる息漏れに近かったけれど、シゲはその眉をピクリと反応させた。 それに満足そうに頷くと、水野は身体を反転させ、シゲの胸に顔を埋めて再び寝息を立て始めた。 どうあってもばかっぷるで終める気です。爆。 ちなみに。行為の内容(?)が上がって(?)いくだけで、 描写はおそらくずっとこんなもんです。 じゃないと、長くなりすぎる・・・。 一から十まで書いてたら、この倍はいきますし・・・。 次回予告(笑):Lv.2「竜也新しい体位と感触に挑戦」です。死。 |