ばさり、とシゲがTシャツを投げると、水野は頭でそれを受け取って、うーと呻いた。 「ほら、さっさと着替えー、酔っ払い」 もぞもぞとTシャツを顔から引き剥がすその手の動きは緩慢で、引き剥がされたシャツの下から覗く頬は真っ赤だった。 「ったく・・・、あいつら、調子乗りおって・・」 シゲは水野の普段絶対お目にかかれないような幼稚な動作に、微笑ましく思うよりも先に、水野をこんな状態にした寺の住人たちを恨めしく思う。 「しーげー」 水野はそんな渋面のシゲにお構いなく、にこにこと笑いながら、手を差し伸べてくる。その手には。 「何で持っとるんや!!」 缶ビールが一本握られていた。飲み会の会場から連れ出すときには、何か持っているようには見えなかったのに。 シゲがそれを取り上げようとすると、水野はこれまた子供っぽさ全開で頬を膨らませて、それを胸元に引っ込める。 「たつぼん、それ以上はあかんて。ほら、寄越しぃ」 本当に小さな子を相手にしている気分になりながら、シゲが手を差し伸べると、水野は壊れた思考回路でもって、小首をかしげながら、 「飲まないなら、しよ?」 「・・・はい?」 どこがどう繋がってそんな結論に達するのか全く謎であるが、それよりもその発言内容自体にシゲは脳みそをフリーズさせた。付き合いは長くはないが、身体を繋げた回数は結構なもんだと思う。けれど、その中で誘われたことなど一度もない。 「・・・。竜也、寝ろや」 シゲは、酔っ払った勢いのお誘いになど、嬉しいなんて感情は全く沸かず、痛みすら覚えてきたこめかみに指を当てて、片手で水野をあしらうと、こもった熱を追い出すために窓を開けようと踵を返す。 するとその背中に、不満だらけの水野の声が投げつけられる。 「じゃ、いい。自分でする」 「そーやなくて、ねろ・・て・・・・。は?」 シゲが水野の言葉を本当に理解したのは、あきれて振り返った先で水野が自分のTシャツを脱ぎ捨て、あまつさえズボンのチャックを下ろし始めた頃になってからだった。 「おい、たつや!?」 「自分で、する・・」 水野は酒の熱のせいで潤んだ瞳のまま、自らさらけ出した下肢に手を伸ばす。 「ふ・・うっ・・」 水野が息を詰める。その声はいつもよりも艶めいていて、シゲは思わずずくんと腰に熱が響くのを感じた。しかし、ここで酔っ払い相手に理性を放棄するのは自分のプライドが許さないから、シゲは努めて何の衝撃も受けていない振りをする。 「布団敷いてやるから、はよ寝ろや」 言いながら押入れを空けるシゲの視界の端で、水野は既に自慰に没頭し始めている。 「は・・っ、ぁ・・く」 指をペニスに絡めて、上下に緩く扱き上げる。それだけで、酒の熱も溜まっているのか、水野のペニスはとろりと先走りを滴らせる。 ずきん、と先ほどよりも強い衝撃がシゲの背中を駆け上がる。震えそうになる指を叱咤して、シゲは何とか敷布団を床に下ろす。 「あ・・っあ・・ん・・っ。は・・ぁ、い・・」 くちゅくちゅと、水野が先走りを自分のペニスになすりつけながら、時折先端に爪を立てたりしている。その度に水野の喉から高い声が上がって、腰がびくんと揺れた。 水野の脚は、徐々に大胆に開かれていく。水野は片手でペニスを愛撫し続けながら、先走りで濡れるもう片方の指を裸の胸にも伸ばした。 「ひゃぁ・・っ」 既に軽く立ち上がりかけていた乳首は、ぬめる感触にますます硬くぷっくりと赤く立ち上がってくる。 「あっあっ・・、いぃ・・・っ。シ・・・ゲ・・ェ」 頬を紅潮させ瞳を潤ませた水野が、大きく股を開いて、透明な先走りを自身に擦り付けながら、ささやかな胸の突起を自分で弄くる姿と言うのは、その辺の友人が持っているAVなんかより、よっぽどシゲの腰を刺激した。 それでも、誘いに乗れば酔っ払った水野に負けるような気がして、シゲは必死で水野の方を見ないように努める。しかし、視線を逸らせばその分敏感になるのは聴覚で、 「ふぁ・・っん!しげ・・っ、ね・・ぇ」 ねだるような水野の甘い声と、くちゅくちゅという粘液の音。そして水野の荒い呼吸の音が、シゲの理性をぐらつかせる。 「ね・・っぇ、し・・よ・・ぉ」 「し・な・い。酔っ払いなんぞ、相手にせぇへんからな」 自分に言い聞かせるように言い切るシゲのズボンの中では、既に暴走寸前なシゲの分身が、準備オッケーいつでもどうぞ状態で出番を待っているのだが、シゲはそれを必死で押さえ込む。しかし、視線は自然に水野に戻ってしまう。 水野は焦点の定まらない瞳で、乳首を引っ張ったり摘んだりして、嬌声を上げる。それに呼応して、水野のペニスもどんどん質量を増していくようだった。水野が自分のペニスの窪みを刺激するたびに、ぐしゅり、と先走りが溢れる。 喉を反らせて茶色い髪が舞う。顎を汗が伝い落ちて、もともと酔いのせいで赤かった頬の色が、全身に広がっていく。 「ひ・・っあっあ・・、あぁ・・んっ」 自分でペニスを弄っていると、乳首のほうは片方だけしか刺激できないのがもどかしいのか、水野は自分の乳首を交互に攻め立てる。時折、その指を舌で舐めて濡らした。そのときに覗く舌が、いつもよりも赤く見えた。 (あかん・・・!) 思わず見入って、自分の下肢に手が伸びそうになったこと気付き、シゲは軽く頭を振って視線を外した。途端に、カシュ、という音がシゲの耳に飛び込んできた。 思わず振り返ってしまうシゲの視線の先で、水野がビールの缶を開けたところだった。これ以上飲ませるのはさすがにまずいと思うシゲが、それを取り上げようと思った瞬間には、水野はそれを手のひらに受けていた。 何をする気なのかと思わず眺めてしまった隙に、水野はその少量のビールを自分のペニスにかけた。 「ん・・っ」 冷たかったのか、少し眉をひそめた水野だったが、すぐにその滴るビールを指で辿って、そのままその指をもっと下方へと進める。 (うそ・・っ) シゲが我が目を疑う前で、水野はそのまま指をまだ開かれていない蕾に埋めていく。 「ふ・・っう・・」 少々苦しそうに息を吐きながら、ビールを潤滑財代わりにして水野は自分の指をそこに埋めきった。そして、浅く抜き差しし始める。 すっかりエッチモードに切り替わっているのは、水野の頭だけでなく身体も同様なようで、程なくして水野の指を数本受け入れ始める。 「あっあっ・・・っ!あつ・・・い・・っ」 ぐちゅぐちゅと、水野の蕾が卑猥な音と共に開かれていく。先走りもそこに滴って流れ水野の指が三本に増やされた頃、もうシゲの我慢も限界に来ていた。 「しげ・・ぇ!」 水野は一際深く内部をえぐりながら、涙の溜まる瞳でシゲをみつめる。 「ね・・ぇっ、おねが・・っ。して・・ぇ。きて・・、ね、さわ・・て・・ぇっ。熱い・・よ・・っ」 水野の目尻から一筋涙が零れ落ちた瞬間に、シゲの理性は羽ばたいて飛んだ。 ぐいっと乱暴に水野の腕を掴むと、噛み付くようにキスをする。そのまま舌を差し込んで、好きなだけ水野の舌を吸い上げ、口内を嘗め回す。 「ふ・・あ・・ぁ・・ん」 唇が角度を変える合間に、水野が鼻にかかった甘ったるい声で喘ぐ。シゲは水野の腕を引っ張って立たせ、壁に背中を押し付けながら、乳首に指を絡ませて、やや乱暴に引っ張った。 「った・・い!」 「ええ、やろ?」 わざと吐息を混ぜて耳元で囁いてやれば、水野は目尻を染めながらも素直にこくんと頷いた。天変地異が起こってもおかしくない状況ではあるが、シゲは起こる前に楽しんでしまおうと思った。 中途半端にずり落ちている水野のズボンを、完全に下に落とすと、水野は自ら脚を上げて片足をそこから引き抜いた。 「しげ・・、なか・・熱い・・・」 水野はシゲの首に腕を回して、シゲのジーパンに腰を擦り付けてくる。 「酒なんかで慣らすからやろ。腸から直に吸収して、回りも早いんやで」 途中では気絶すんなよ。 そんなことを言いながら、シゲは胸に置いた手を水野のペニスに伸ばす。もう片方は、すっかり酔いの回っている水野の腰を支えていなければならなかった。 「はぁ・・っ」 水野が小さく息を詰める。水野のそこはいつイってもおかしくない状態で濡れそぼっていて、シゲの指はすぐに先走りで濡らされた。 「やらしい子やなぁ・・」 くすくすろ笑いながらシゲが緩くしごき上げると、水野はますます強くシゲにしがみついてきた。 「しげ・・ぇ。ちが、う・・!」 シゲの肩口に顔を埋めて首を振る水野の髪から、ほのかにシャンプーの香りがした。シゲはその髪に口付けながら、優しく子供をあやすように尋ねる。 「何がちゃうの?」 「そこじゃ・・ないぃ・・・」 水野の言葉にシゲは苦笑して、水野の膝裏に腕を入れて、それを高く引き上げる。 「や・・っ」 反射的に強くシゲを掴んだ水野の爪が、きり、とシゲの肩に食い込んだ。それにはお構いなしに、シゲは水野の腰を抱え直して、水野が座り込まないように強く壁に押し付けてから、腰にあった腕を水野の股に移動させる。 「ここ?」 そこの蕾に指を一本押し当ててシゲが尋ねる。水野が小さく頷いた。 「ちゃーんと、言って?」 促すと、水野は蚊の鳴くような声ではあったが、はっきりと言った。 「シゲの、勃ってる・・・」 これだけ密着しているのだから、水野にもシゲの興奮が分からないはずは無い。水野は指が押し当てられたソコそひくひくと反応させながらも、くす、と笑う。 「俺の、勝ち?」 「・・・・上等や」 「っあぁぁ!」 シゲが一気にその指を埋め込むと、水野はシゲの肩から顔を上げて喉を反らせて嬌声を上げた。 「すご、どんどん入るわ、ここ」 シゲが次々と指を増やしても、水野のソコはシゲの指を喜んで迎えるように収縮する。中は酒のせいだろう、いつもより熱を持って、シゲの指を締め付けた。 そのまま水野の中を掻き回すと、水野は背中を壁に擦り付けながらも大きく腰を揺らして、普段なら絶対恥ずかしがって押し殺す喘ぎも全て赤裸々に吐き出した。 「あっあっあぁ・・んっ。いいっ・・あ、しげ・・ぇっ。いい・・!もっとぉ、ね、もっと・・。足りない・・ぃ」 水野がシゲのを引き寄せてキスをねだる。シゲはそれに答えてやりながら、一旦蕾から指を引き抜いた。 「は・・っ」 途端に水野の声音に絶望の色が現れる。恨みがましく涙目で睨んでくる水野にシゲは苦笑して、自分のズボンのジッパーを下ろした。 「出さないと、挿れられへんやろ」 すっかり勃ち上がって先走りで濡れるシゲのペニスが、水野の秘孔に押し当てられる。 「あぁ・・んっ。シゲ・・、はや・・く・・・」 今後二度と聞けることも無いかもしれない水野のおねだりに、シゲは自身をホンの少し挿し入れる。しかしそこからは進もうとせずに、くびれたところまで挿れては、引き抜くという動作を繰り返す。 「いやぁ・・っ、しげ・・!あっ、ふ・・っ」 水野はすぐに我慢できなくなったのか、片足立ちと言う不安定な体勢にもかかわらず、シゲを受け入れようと腰を沈めるような動作をした。 「はしたないこと、すんなや」 完全にからかい口調でシゲがそう言うと、水野は目尻から涙をこぼしながら訴えた。 「じゃ・・挿れて・・よぉ」 「はいっとるよ」 シゲは途中で挿入を止めて、今度はゆるゆると入り口辺りを掻き回すようにすると、水野は激しく首を振って懇願した。 「違・・うっ。もっと・・奥まで・・!シゲの、挿れて・・っ。イかせて・・・!」 「犯されたいん?」 水野の茫洋とした瞳の中に、瞳を細めて水野を見つめるシゲが映る。水野は持ち上げられた脚をシゲの腰に回すようにして、シゲを引き寄せようとする。 「犯して・・・・」 少々の恥じらいが残る水野の口調に、シゲは、 「変態」 楽しそうにそう言うと、一気に腰を詰めた。 「ああああぁぁぁぁあっ」 水野が発したのは悲鳴ではなかった。その証拠に、限界まで張り詰めていた水野のペニスは、シゲが一気に蕾を貫いた途端に、歓喜の涙を零した。 「竜也、早すぎ」 水野の腹に広がった飛沫を指で伸ばす。しかし、一度達したくらいで水野のペニスが衰えることも無く、シゲのぬめる指の感触を肌に感じた水野のソコは、すぐに反応し始める。 「シゲ・・、動いて・・・ぇ」 「ええよ」 シゲはその不安定な姿勢のまま、水野を突き上げ始める。 「あっあっ・・・はっ・・ふ。うぅ・・っん」 それでも、いつもよりも不安定な立ったままの体勢のせいか、なかなか強い刺激は与えられない。いつもより奥にシゲのペニスが入り込んでいるのは分かるのに、シゲも激しく動けないのかなかなか高みまで上り詰められない。 「しげ・・っもっと・・!もっと、して・・っぁ、あぁ、あぁっ、はぁ・・っ!」 「たつや・・っ」 涙で滲んだ視界の中で、シゲの眉が辛そうにひそめられているのが見える。気持ち良く無いのかと心配になった水野は、おそるおそる尋ねてみた。 「シゲ・・、大丈夫・・か?」 「ん?」 犯されている側から心配されるとは思っていなかったのか、シゲが一瞬動きを止めた。その合間にようやくつけた息でもって、水野は続けて聞いてみる。 「ちゃんと、気持ちいい?」 シゲの背中に電流が走った。 「ひゃ・・ぁぁあっ」 突然水野の秘孔から、今だ当然猛ったまままのペニスを引き抜くと、シゲは水野を敷いた布団の上に引き倒す。そして腹這いに倒された水野がシゲを振り仰ぐより先に、シゲは水野の腰だけを持ち上げて、再びソコにペニスを突き入れた。 「うああぁっ。あっあっ、あっ・・!駄目・・っ。シゲ!待・・・って!」 パンパンと肉のぶつかり合う音が水野の耳に響く。シゲのペニスが水野の内壁を思い切り擦り上げて、水野はその度にそれを離すまいときつく秘孔を締める。 「い・・っや・・ぁっ。あつ・・っ、あっ、う・・あ!」 段々、二人の繋がった部分から、ぐしゅぐしゅという卑猥な音がしてくる。水野の背中に覆いかぶさったシゲの、荒い息が水野の首筋に吹きかけられる度に、水野はびくびくと腰を揺らす。 「すご・・っ、たつや・・!中めっちゃ、熱・・」 「ひあぁ・・んっ。だめ・・っ。良すぎ・・て、変・・・!」 水野はシーツを涙と唾液で濡らしながら、ただシゲの名前を叫ぶ。 「シゲ、シゲ・・ェッ、あっあっ・・いい・・っ。なっ、シゲ・・はっ?シゲ・・もっ」 「めちゃめちゃええよ・・っ。たつ・・っ、お前最高や・・!」 「ふうぅ・・、うっん!」 ぱたぱたと、水野の背中にシゲの汗が落ちる。その下では、すっかり硬度を取り戻した水野のペニスが、同じようにシーツの上に染みを作っていた。 「も・・っ、あかん・・かも・・・!」 「俺・・・も!・・・・・っああぁぁ!」 一際奥を穿たれ、シゲの暖かい精液を見のうちに感じた瞬間に、水野のペニスもまた、連動するように精を吐き出した。 シゲが、余りの快感に意識を飛ばした水野をかいがいしく介抱しているとき、草晴寺の面々は、一様に困ったように顔を見合わせていた。 「・・・・トイレ、誰から行く・・・・?」 その数に和尚が含まれていたのかどうかは、謎である。 オチが下品過ぎ!イエローカード!爆。でも実際、寺でヤったら聞こえるだろうな。(レッドカード) 本当は、掲示板に書いてくださった方がいたように「風呂場で濡れ場」も考えたんですけどね。でもそれだと、暖めてある裏ネタに微妙に被るので今回はアウトでした・・。 その後浮かぶのがコレってどうなんだ、とまそん・・・。苦笑。にしても、結局(水野が)酒を飲んだら、それなりの覚悟をしなければならないのは、シゲですか?外で飲ませたら大変そうだぞ?大笑。 次で最後です!!マニアックに行きますよ〜(これ以上か。死)。 そんなわけで最終予告。「・・・・二人の年齢を忘れていませんか?」(予告か?てか、今更?殴) 注:バスルームエッチは、他のリクエストで書きました。今回整理時に削除。 |